【英断】子宮頸がんで苦しむ人がいなくなるように・・・専門家が情報発信へ
皆さんこんにちは!
今回は結構真面目な記事となります。というのも僕の身近に子宮頸がんを患った知り合いがいるのでそのことについて僕なりにいろいろ調べる機会があったのです。
で、せっかくなので今回はその内容についてここでいろいろご紹介したいと思います。
目次
子宮頸がんって?
子宮がんは、子宮体部にできる「子宮体がん」と、子宮頸部にできる「子宮頸がん」に分類されます。子宮頸がんは、子宮の入り口の子宮頸部と呼ばれる部分から発生します。子宮の入り口付近に発生することが多いので、婦人科の診察で観察や検査がしやすく、発見されやすいがんです。また、早期に発見すれば比較的治療しやすく予後のよいがんですが、進行すると治療が難しいことから、早期発見が極めて重要です。子宮頸がんは、進行すると骨盤の中のリンパ節に転移したり、子宮を支えている靱帯を伝って広がったり、また血管やリンパ管を通って子宮から遠い臓器(肺など)に転移したりすることがあります。
この子宮頸がんは、ヒトパピローマウイルス(HPV)に感染し続けることによって、がんになる直前の前がん病変という状態からがんへと進む病気です。
その感染を元から防ぐのがHPVワクチンで、早期発見を目指すのが子宮頸がん検診なのです。
日本産科婦人科学会は、学会のウェブサイトで、「子宮頸がんとHPVワクチンに関する正しい理解のために」というページを公開しました(↓)
http://www.jsog.or.jp/modules/diseases/index.php?content_id=10
子宮頸がんの発症の仕組みや、予防の有力な手段であるHPVワクチンの効果や安全性などについて解説しています。
同学会の広報委員会と婦人科腫瘍委員会の両委員長を務める新潟大学産婦人科教授、榎本隆之さんは「子宮頸がんで苦しむ人が少しでも減ってほしい」と目的を話しています。
こちらがその日本産科婦人科学会のホームページ
「一般のみなさまへ」という欄で公開されたページ「子宮頸がんとHPVワクチンに関する正しい理解のために」。さらに詳細な情報を知りたい人のために、「もっと知りたい方へ(Q&A、参考文献)というリンクも設けられていますね。
もうこれ以上、患者が悲しむことのないように
ではなぜ、このようなワクチンに対する理解を求めるようなページを書いたのでしょうか?もう少し詳しく背景を見ていきましょうか。
日本で毎年約1万人が新たに発症し、約2900人が亡くなる子宮頸がんですが、HPVワクチンは2013年4月に公費で受けられる定期接種になったものの、ワクチンを打った後に体調不良を訴える声が相次ぎ、国は積極的に勧めるのを中止したという経緯があります。
安全性への不安が広がったため、今現在ほとんどうつ人がいなくなっているそうです。
一方、患者、死亡者数は増加傾向にあり、特に20〜40代の子育て世代の女性がかかることから、「マザーキラー」とも呼ばれているこの病気。
子宮頸がん患者を日常的に診ている産婦人科医の学術団体として、一般の人に正確な情報を伝えて、正しく予防に取り組んでもらいたいと、婦人科腫瘍委員会のメンバーを中心に今回のページを作成したそうなんです。

榎本さん「ギリギリまで赤ちゃんを産めるように粘ろうとしたのですが、リンパ節に転移していることがわかり、子宮と共に赤ちゃんを諦めるしか生きる道はないと判断しました。赤ちゃんを心待ちにしていたお母さんは大泣きです。こんな思いをもう患者さんにもさせたくないし、産婦人科医としてもこんな辛い手術をしないで済むようにしたいのです」
とおっしゃっていました。これは・・・確かに何とかしないといけないですよね・・・。
ワクチンと検診 両方で予防を
まず、性交渉の経験のある女性のうち50〜80%はHPVに感染する機会があるため、性交経験があれば誰でも発症する危険性があるがんであることを指摘しました。
榎本さん『子宮頸がん検診は、「前がん病変のうちに発見して治療を行うことでがんへの進展を防ぐ」が、頸がんや前がん病変を有する人が検診で陽性を示す割合(感度)は50%~70%と十分に高いとは言えず、がんや前がん病変がある人でも、一定の割合で検診では異常なし(偽陰性)と判定されてしまう危険性があるのです。』
として、検診には限界があることを説明しています。
これに対し、HPVワクチンは「HPVの感染自体を予防して前がん病変・頸がんを発生させないようにする」もので、予防に対する役割が異なることを伝え、
榎本さん『現在使用可能なHPVワクチンは頸がんの約6~7割を予防できると考えられています。HPVワクチンと子宮頸がん検診の両方による予防が最も効果的です。』
子宮頸がんの治療や後遺症
前がん病変やごく初期の早期がんで発見されれば、子宮頸部の一部を切り取る「円錐切除」という手術で子宮を残すことも可能だそうです。
しかし、早産のリスクを高めるなどして、「将来の妊娠・出産に影響が出る可能性があります」と、早期発見でも後遺症が残るリスクも伝えています「。
それ以上進んだ浸潤がんでは子宮や卵巣、リンパ節を広く切除し、放射線治療や抗がん剤治療も必要となる。治療成績は向上しているのですが、
榎本さん『治療により救命できたとしても、妊娠ができなくなったり、排尿障害、下肢のリンパ浮腫、ホルモン欠落症状など様々な後遺症で苦しむ患者さんも少なくありません。』
と、がんになってからの治療は、助かったとしても、後遺症が重くなる可能性があることを伝えていました。
HPVワクチンの効果と安全性
最後に、子宮頸がんの原因となるウイルスに感染しないようにするHPVワクチンの効果と安全性について紹介します。
日本では特に子宮頸がんに進みやすいHPVの16型と18型への感染を防ぐ2種類のワクチンが承認されており、「初めての性交渉を経験する前に接種することが最も有効です」と説明しています。
効果については、国のプログラムとしていち早く取り入れたオーストラリアやイギリス、米国、北欧の国々で、HPV感染や前がん病変の発症が減ったことを紹介していました。
国内でも、新潟県、大阪府の研究で、ワクチン接種者でHPV感染率が低くなっている結果が示されていることを伝えている。秋田県や宮城県でも、うっている人はうっていない人と比べ、検診で異常な細胞が見つかる割合が少なかった。
(出典:日本産科婦人科学会)
このように国内でもワクチン接種者で感染リスクが減ることを示す研究が続々報告されているのです。
また、ワクチンの安全性についても、WHOが世界中の最新データを継続的に解析し、HPVワクチンは極めて安全であるとの結論を発表しています。
と、国内でも厚生労働省の専門部会が以下のように、ワクチンの成分とは無関係だと結論づけていることを紹介しました。
慢性疼痛や運動障害などHPVワクチン接種後に報告された「多様な症状」とHPVワクチンとの因果関係を示す根拠は報告されておらず、これらは機能性身体症状と考えられるとの見解が発表されています。
厚生労働省研究班の調査の結果、HPVワクチンの接種歴のない女性でも、HPVワクチン接種歴のある女性に報告されている症状と同様の「多様な症状」がみられる人が一定数いた、というデータも示していますね。
さらに接種後の痛み治療の研究を行なっている厚生労働省研究班では、症状を追跡できた女性156人のうち、115人(73.7%)は症状が消えるか軽くなったかし、32人(20.5%)は変わらなかった、9人(5.8%)は悪化したと伝えました。
そして榎本さんは、
『今後も複数の診療科の専門家が連携して治療にあたるとともに、社会全体でこのような症状で苦しんでいる若い女性をしっかり支えていくことが重要です。今後も私どもは、HPVワクチンの接種の有無にかかわらず、こうした症状を呈する若年者の診療体制の整備に、他の分野の専門家と協力して真摯に取り組んでまいります。』
と、実際に苦しんでいる女性への支援の重要性を書き、救済制度があることにも触れていました。
子宮頸がんの予防と撲滅を
HPVワクチンについての学会の考え方として、榎本さんは
『先進国の中で我が国に於いてのみ将来多くの女性が子宮頸がんで子宮を失ったり命を落としたりするという不利益が生じないためには、科学的見地に立ってHPVワクチン接種は必要と考え、HPVワクチン接種の積極的勧奨の再開を国に対して強く求める声明を4回にわたり発表してきました。
これからも子宮頸がんとHPVワクチンに関する科学的根拠に基づく正しい知識と最新の情報を常に国民に向けて発信するとともに、子宮頸がんの予防およびこの病気の撲滅を皆様と共に目指していくべきと考えております。』
と訴えています。
おわりに
この記事を見て思ったのは、
海外の学会では『子宮頸がんは撲滅の可能性が見えてきた』と宣言されているのに、先進国の中で日本だけがワクチンをうつ人がほとんどおらず、検診受診率も低いままで、頸がんになる人が放置されているこの状況はおかしいという事です。
頸がんを治療する専門家の榎本さんとしては、予防できるがんで苦しむ人を診るのが悔しくてたまらないのでしょう。
どうか、あなたの命や将来の赤ちゃんの命を守るために、関連サイト等を見て少しでもいいので子宮頸がんとそのワクチンの在り方について理解を深めてほしいものですね。
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