【しげをサイエンス】ウイルスと免疫そして身体システム

皆様はじめまして。

アデイン新ライターのしげをと申します。

本日より、新シリーズ『しげをサイエンス』をスタート致します。このシリーズは私が日々世間で引き起こっていることに対し、科学の目線から私が思ったことをつらつらと書き記すコラムシリーズとなります。

不定期の更新となりますが、皆さまどうぞお付き合いくださいませ。

さて、記念すべき初回のテーマは『ウイルスと免疫そして身体システム』です。それでは早速参りましょう。

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1、何故、ウィルスがヒトに手強いのか

ウィルスがヒトに手強い理由は3つある。

①ウィルスがヒトに手強い理由その1

サイズという物理的条件がウィルスとヒトとで全く違うからである。

ゲノム(DNA全部の並び)が塩基(G,C,T,A)の並びで構成されていることは周知であるが、ウィルスのゲノムは塩基数が約1万である、一方,ヒトは64億個もの塩基数からである。ウィルスゲノムはヒトの64万分の1の大きさであり、ヒトのどこからでも侵入できるような大きさというのが一つの理由である。

つまり、容易にヒトに侵入可能なのである。

②ウィルスがヒトに手強い理由その2

ウィルスもヒトもほとんど同じ化学成分(DNAやタンパク質を構成する化学成分のこと)から構成されているからである。

このことは、①の理由で侵入したのち、容易に細胞に受け入れられ、かつ、増殖を可能とする土台を提供してくれるのである。

つまり、ウィルスをヒトにとって異物と明確に認識できない背景があるのである。

③ウィルスがヒトに手強い理由その3

ウィルスもヒトもDNA情報(DNA内の塩基配列のこと)を構成する部品は同じであるからである。

両者の違いは塩基の数と並べ方だけである。

このことは、②で示したウィルスの細胞への侵入及び細胞内での増殖をより一層容易にする、何故なら周辺に自分を形成できる材料(部品)がたくさんあるので、細胞内で容易に増殖できるからである。

①②③の背景を利用してヒトの細胞内に侵入してきたウィルスはものすごい勢いで細胞内で増殖をはじめ、増殖数がある一定以上になったときに細胞を突き破りほかの細胞に侵入していくようになる。

乗っ取られた細胞はそこで本来の役目をすることができなくなり死んでいくことになる。

2、ヒトの身体システムはどのようにこのウィルスを死滅させるのか?

1のウィルスに対応するために免疫システムがヒトの身体で発達している。

免疫システムの要は抗体である。抗体はウィルスを攻撃して死滅(ウィルスのDNAを分解してバラバラにし部品に戻してしまうこと)させてしまう。

この抗体は以下のようにして生み出される。

抗体が生まれるプロセス

①血液(赤血球、血小板、白血球、リンパ球からなる)の中にある多能性造血細胞(この細胞は血液の中で発生する多くの細胞に変化する)から産生されるリンパ系前駆細胞から、さらに産生されるB細胞(リンパ系前駆細胞はリンパ球(B細胞、T細胞、ナチュラルキラー細胞からなる))の中で抗体は作り出される。

②B細胞の中で各々のウィルス(これを抗原ともいう)に対応してその各々を死滅させるような抗体が設計され、その後この抗体を増殖させる。重要な点は抗体が各々のウィルスに対して設計される事であり、ウィルスに対して一品一様の抗体が産生されるということである。

3、何故、抗体はウィルスに対して一品一様に設計されなければならないの?

抗体のこの一品一様性(これを抗体のウィルスに対する特異性という)は強みでありかつ弱みでもある。

強みはこの特異性のために、特定のウィルスのみを特定の抗体で攻撃でき身体のほかの機能に悪影響を及ぼさないのである。もし、どのようなウィルスでも攻撃、死滅させることができるような抗体であれば、身体のほかの部分も攻撃してしまう、実際、このような病気は自己免疫疾患といわれ、関節リュウマチ、全身性エスティマトーデス、橋本病(甲状腺炎)、Ⅰ型糖尿病など多くの病気がある。

一方弱みは、抗体を設計するのに時間がかかるということである。特に、初めてのウィルスに関する抗体を作るには時間がかかり、ウィルスの増殖とこのウィルスに特異的な抗体との増殖競争になる。抗体産生が遅れるとすでに大量のウィルスが発生しているので、ウィルスを駆逐するには大量の抗体が必要となり、両者の戦いの場では細胞の本来の機能が果たせないくらい荒廃してしまう。

コロナウィルスに感染し、肺炎で亡くなる人が多いがこれは肺がウィルスと抗体との戦場になり、肺の機能が果たせなくなり呼吸困難でなくなってしまうのである。ウィルス自体に侵されたのではなく、肺がウィルス/抗体戦で肺細胞が機能しなくなったのである。

身体システムには抗体の特異的設計を行う上での一番の弱点である遅延性を解消するための機能が備わっている。それは、一度戦ったウィルスのDNA配列を記憶しておき次に同様のものが来た時に素早く抗体を作り出す機能である。この機能は前述のB細胞(抗体産生細胞とメモリー細胞がある)の中のメモリー細胞に記憶されることで実現できる。

しかし、初めてのウィルスにはこの方法が通用しない。前例のない問題に取り組まなければならないので、どうしても時間がかかるのである。

4、コロナウィルスとどう戦うのか?

今回の間違いなく新種のウィルスであるので、3で述べた抗体設計に時間がかかるのである。

特に、抗体を設計し生産するエネルギーの低い老人や持病を持つ人は得に重症化しやすいのである。一方、若くて体力のある人はコロナウィルスに対する抗体を素早く設計、生産しウィルスが増殖する前にウィルスを消滅させてしまうのである。

最も重要なことはコロナウィルスが破滅的な数になる前に、抗体設計をなるべく早くやることなのである。抗体設計をなるべく早く終了させてしまうために、現在、人類が行おうとしているワクチン開発が以下のようなものと思われる。(詳しくは製薬会社のノウハウであろう)

①コロナウィルスのたんぱく質構造を解読し、これを発生させるmRNAの塩基配列を突き止める。

②mRNAを人口で合成し、それをヒトに少量投与しコロナウィルスを発生させる。この方法で非常に少量のコロナウィルスを発生させることができる。

③この少量のコロナウィルスをB細胞が見つけて、抗体を発生させると同時にメモリー細胞を作りコロナウィルスの塩基配列を記憶する。

④実際にコロナウィルスに感染したとしてもすでに抗体設計は実施しているので、すぐにウィルスを消滅させることができる。

すでに、ワクチン開発は最終段階を迎えているが非常に高い効果をファイザーなどの製薬会社が達成していると報道されている。ワクチンが機能すれば、新型コロナウィルス問題も夢のように忘れ去られるかもしれないのである。

 

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