【しげをサイエンス】ヒトの中の幹細胞と社会の中の人間

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しげをです。

本日のテーマは『ヒトの中の幹細胞と社会の中の人間』というテーマで切り込んでいきます。

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1、幹細胞とは

皆さん幹細胞というものをご存じでしょうか?

幹細胞というのはどんな細胞にも変化できる細胞のことで、有名なのがES細胞(精子と卵子が合体してできた、個人の最初の細胞で体のすべての細胞に変化できる)と、iPS細胞(普通の成人の細胞に遺伝子を3,4個投入することで、ES細胞と同じような幹細胞を作ることができる細胞。普通細胞をES細胞のような状態に戻すことを初期化という)であり、これらの細胞を必要な細胞や組織に変化させ患部に注射または移植することにより治療することがすでにおこなわれています。

実際最近は黄斑変性症、心筋再生などすでにiPS細胞による成果も現れ始めています。

”STAP細胞はあります。”で有名な小保方研究員が目指していたのも、体のどんな部分にも変化できる細胞でしたが、これはES細胞であることが後の調査であきらかになり小保方さんは美人からやつれた女性に変身してしまいました。

幹細胞は他にもあります。皮膚、腸管上皮、血球系など細胞補充を頻繁に必要とするところではその器官でその器官のいろいろな細胞に変化ための幹細胞が働いています。これらの幹細胞もES細胞から変化した幹細胞です。

器官で機能している幹細胞の例をあげると、多能性造血細胞があります。この幹細胞から骨髄系前駆細胞とリンパ系前駆細胞が作り出され、骨髄系前駆細胞から赤血球、血小板、白血球、リンパ系前駆細胞から免疫系に必要なB細胞細胞が、T細胞、ナチュラルキラー細胞という血液中の成分が作り出されています。

2、人間社会の中の幹細胞は誰か

細胞が人間を作り出しているように、人間社会の中の個人は人間社会の中の細胞といえます。

細胞が生物としてのヒトの中で果たす役割や機能は、個人が人間社会で果たす役割や機能と類似性があるのではないかと私は思っています。

細胞が生物学的なヒトの中で果たす原理やメカニズムと個人が人間社会で果たす原理やメカニズムを比較することにより、より良い人間社会構築のためのヒントになると思うからです。

人間社会で幹細胞にあたる人は誰でしょうか?乳児は間違いなく人間社会の幹細胞です。

この幹細胞は幼稚園、小学校、中学校、高校くらいまでは社会のある特定の役割を与えられることは無く教育のみが施されます。高校を卒業すると、それぞれの専門分野に分かれて行き、そこでそれぞれの器官の幹細胞になり、そこからまた特定の職業(特定の器官)に就くようになるのです。人間社会のこのようなプロセスは幹細胞からそれぞれの器官が発生していくのと驚くほど類似しています。

子供が大切にされるのは無限の可能性があるからであり、幹細胞がヒトのあらゆる細胞に変化できるのと非常に似ています。その無限の可能性を活かすために何が大切でしょうか?

それは、間違いなく教育であると私は思います。教育により、幹細胞の将来の可能性は決まるのです。言うなれば”国が税金を使って子どもを教育する理由は幹細胞を各器官で有用な細胞にするため”なのです。

乳児だけが幹細胞ではありません。すでに成人し社会の1細胞として機能しているヒトも幹細胞に戻れるのです。iPS細胞が初期化により元の幹細胞に戻れるように、社会ですでに成人しているひとも、教育により就職する前の状態に戻れるのです。ここでいう社会は幹細胞/人間レベルでは環境にあたります。

この人間社会環境は自然環境よりもはるかに変化が激しく大きな変革をうけます。所属している分野が時代遅れになり職を失うということも多々あると考えられます。こうなった時の一つの解決策が体細胞から幹細胞に戻る事が挙げられます。幹細胞に戻れば他のいろいろの可能性が可能になるからです。

この時、重要なのはやはり教育です、教育を受けることが体細胞を幹細胞に戻してくれるのです。

乳児から高校くらいまでは、幹細胞から優れた体細胞になるために教育が重要であり、成人で現在いる環境が不満のヒトでほかの分野に挑みたい人は体細胞から幹細胞に初期化するために教育が重要なのです。

3、細胞からの発生と社会における組織づくり

細胞からの発生とは幹細胞からある特定の器官が出来てくることでありますが、これを支配するのは生体環境からのシグナルです。

生体環境からのホルモンや神経伝達物質などの信号により特定の器官が形作られるのです。

社会において、何かの目的のために組織を作ろうとするとき(発生)、最も重要なことは、採用する人材(細胞)と環境情報(環境シグナル)です。

組織の初期の段階では人材は幹細胞であり環境シグナルでいかようにも変化することは可能なのです。

人材は幹細胞でありいかようにも変化できるのであるから目的の組織整合する環境情報を大量に人材に与えれば組織は合目的な強化された組織になるのでしょう。

4、アポトーシスと組織のリストラについて

アポトーシスとは細胞死のことで、人体では普通に生じている。

ある組織が人体の中で不必要ということであれば、その部分の細胞はアポトーシスで消滅していきます。

良い例が手指です。胎児のときは指の間には水かきがあるのであるが、アポトーシスにより水かき部分はなくなり人間の指のような形になるのです。

個人や人間組織は環境条件に合わなくなることは常に生じる。

この時、人間社会は組織を温存したまま個人や組織を変化させようとするが、生物学的にはこの方法は間違いです。

組織を生き返らせようとするためにはアポトーシスは絶対に必要なのです。

つまり、首切り、設備の廃棄、事業の取捨選択などの人材の消滅、設備の消滅、事業の消滅などの組織におけるアポトーシスはどうしても必要なのです。会社の経営者とはこの組織のアポトーシスがやれる非情さを有する人でなければならないのです。

多分の話であるが、リストラ(解雇)に合う人は体細胞から幹細胞に戻れないひと、つまり教育してもついていけない人と経営者に判断された人と思われます。

現在の地位や能力に懲り固まってほかのものに変われない、変わろうとしないという人はアポトーシスで消滅していくしかないのです。

これは分子生物学が教える貴重な教訓と言えるのではないかと思います。

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