【しげをサイエンス】免疫システムと防衛システム

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しげをです。

本日のテーマは『免疫システムと防衛システム』というテーマで切り込んでいきます。

『免疫』と『防衛』似て非なるこの2つの要素。一体どのような関連があるのでしょうか?

では、早速見ていきましょう。

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1、免疫システムと防衛システムとの類似点

ヒトも国もそれを支えるシステムで機能している。人の身体は生物学的システムで身体が機能し、国は政治的システムが中心となり機能している。これらのシステムが機能しなくなると身体は健康状態を維持できなくなり死を迎える、一方、国は破滅して近隣の国に併合(つまり国が消滅)されてしまう。

何が身体や国を破壊させるのであろうか?身体の場合の原因は小さい方からウィルス、細菌(病原菌)、異物・毒物・麻薬、野生動物(ライオン、クマなど)などがあるが、異物・毒物・麻薬、野生動物などはヒトが観察可能なものであり、対応方法も比較的容易である。しかし、ウィルスや細菌は顕微鏡(ウィルスでは電子顕微鏡やレーザー顕微鏡が必要)レベルの観察が必要であり同定や対策が非常に困難である。また、重要な点は身体において、従来は味方であった細胞が突如敵に変身することがあるということがある。良い例が癌細胞である、正常細胞であったものが癌細胞に変わると、正常細胞が機能しなくなるほどがん細胞が増殖し、身体システムが機能しなくなるのである。自己免疫疾患も免疫細胞という通常であれば、外敵のみを破壊する細胞が、自分の正常細胞を攻撃して身体システムを破壊しようとする。つまり、この敵は外敵(異物や外来ウィルス、外来病原菌など)のほかに内敵(遺伝子の突然変異による癌化細胞、免疫暴走)と言える敵が存在するということである。

一方、国を亡ぼすものも敵である。敵にはあからさまな軍事行動、スパイ活動、偽札などによる経済的破壊活動、情報操作による情報戦、、国内破壊活動、などがある。実際、ハード面とソフト面の両方があるが、究極のハード戦である核戦争になると片方または両方の国が壊滅的な損害を被るので、近年はソフト面での敵の重要性が大きいと考えられる。敵は外敵だけではなく、国内の不満分子による破壊活動のように国内にも敵と考えられるものが多く存在することが重要なポイントである。

身体の敵である病原体(主にウィルスと病原菌)を壊滅させるために身体には免疫システムが装備されている。免疫システムが存在するために身体システムは維持できるのであり、免疫システムがなければ身体システムは存在できず、生命を敵から守ることはできない。重要なことは免疫システムは外敵、内敵の両方に対応できるものでなければならないということである。

同様に、国を敵から守るために防衛システムが整備されている。外敵に対しては自衛隊が、内敵に対しては国家公安局が対応していると思われるが、そのほかにも経済犯罪、情報犯罪など近年IT技術の発達に伴い多くの敵が内外に発生していることは確実である。

このように免疫システムと防衛システムは非常に類似している。日本の防衛システムを考えるうえで、免疫システムを参考にすることは新しい防衛システムを構築するためにも非常に有益と考えられる。

2、免疫システムの詳細とその防衛システムへの応用

生体防御システムは次の2つの要素から成り立っている。

①非特異的防御(自然防御)・・・どのような病原体に対しても作用する免疫機構であり、迅速に反応し病原体を破壊し消滅させる。

②特異的防御(適用防御)・・・個別の病原体に対してのみ(特異的作用)作用する免疫機構であり、個別の病原体のみを攻撃する抗体を産生させる。但し、抗体が産生できるようになるまで数日から数週間の時間を要する。

一見すると、①のような免疫機構のみで十分であるように思われるが、①のバリアを突破した病原体が身体に侵入してきたときに、さらなるなんにでも対応できるような免疫機構であると間違いなく自分自身の細胞も破壊してしまうことになる。そうすると自分自身の身体システムを破滅させることになる。丁度、敵が侵入してきて警察で対応しようとしたが、それを突破され、次に、軍隊を導入し敵をより大きな武器で壊滅しようとするときに民間人も犠牲にしてしまうこととよく似ているのである。

このようなことを避けるために、②の特異的防御で敵のみを攻撃するように身体システムが進化してきたのである。特異的防御は自己の身体システムの損害を最小に抑えるための必須のメカニズムなのである。

3、非特異的防御システム

非特異的防御システムを担うのは以下のようなものである。

<1>正常微生物ごう・・・身体に住み着いているヒトに害を及ぼさない微生物集団であり、海岸近くに住んでいる一般人とみなされる。敵とわかる人が侵入してきたときは、捕まえると思われる。

<2>リゾチーム・・・涙、鼻汁、唾液に含まれる、病原体を攻撃する酵素。入国審査や税関にあたると思われ、外敵はここでとらえられ、国外追放や刑務所に入れられる。

<3>胃液、胆汁液・・・PH2の胃液や小腸内での胆汁塩でこの環境で生きられるウィルスや細菌はいない。外敵の処刑場であろう。

<4>大便排出・・・病原体は大腸で増殖するが大便と共に身体から排出される。これは難民などの強制送還にあたると思われる。

以上のシステムはどのような病原体に対しても機能する。攻撃された病原体は貧食細胞に食われ分解されてしまう。

しかし、このような非特異的防御システムをと通り抜ける病原体も必ず出現する。外見はほとんど一般人と同じで日本語を喋り日本人とほとんど同じ(または全くの日本人)生活をおこなう敵である。このような敵に国としてどのように対応しているのだろうか、見つけ出し、捕ら、排除するのは非常に困難であることはすぐにわかる。このような病原体に対応するのが②の特異的防御システムである。

4、特異的防御システム

特異的防御システムを担うのは血液中の多能性造血細胞から作られるリンパ系前駆細胞からさらに産生されるリンパ球に含まれる以下の3種類の細胞である。

<1>B細胞・・・特定の病原体のみを攻撃する抗体を作り出し病原体を死滅させると同時に、攻撃した病原体のDNAを記憶する細胞も作り出す。警視庁に雇われた優秀なハンター(殺し屋)で狙った犯人のみを殺害し、それを警視庁に報告するまでが仕事。次に、同じ病原体が侵入してきたときは、すでに病原体の登録情報があるので、多くの同レベルのハンターを警視庁はリクルートでき、素早く病原体に対応が可能となる。

<2>T細胞・・・ウィルスに感染した自分の細胞を殺傷してしまう細胞である。ウィルス感染した細胞はもはや外敵とみなし自分自身の細胞であったものでさえ除去してしまう。外科手術を行う医者のようなものであろう。ウィルスに侵された器官を切除するのと同じ方法である。

<3>ナチュラルキラー細胞・・・T細胞と同じようにウィルス感染した細胞を分解し殺傷するとともに、突然変異で癌化した癌細胞を攻撃破壊する作用もある。この細胞は殺傷能力が高いため、非特異的防御作用と特異的防御作用の両方の性質を有している。刑事ドラマで出てくる手の付けられない刑事(または殺し屋)というようなものかもしれない。

このB,T細胞は不思議な作られ方をする。まず、リンパ球前駆細胞から作られた後、B細胞は骨髄でT細胞は胸腺という器官の中で成熟させられる。具体的にはB,T細胞が自分自身の細胞を攻撃しないように細胞自身の性質を変えていくのである。自己と外敵との区別が十分できるようになるまで、骨髄や胸腺で教育を受けるのである。もし、B,T細胞自身がある一定期間教育をうけても、自己、他者の区別が付けられない様であれば、自分自身で細胞死(アポトーシス)を受け入れるのである。

防衛システムにこのような明確な教育システムが組み込まれているだろうか? 警察官、自衛隊員に敵と身内をはっきり区別でき、適切な判断ができるような教育を施しているのだろうか? そのようなことは隊員一人一人が常識で判断できると思っている幹部が多いのではないだろうか?免疫システムが我々に教えていることは、自己と敵の区別の重要性と、その重要性を免疫システムにおける兵隊である抗体にどのように教え込むかということである。

まとめ

今回の要点をまとめると、防衛システムにおけるハード面は目に見えるし、わかりやすい。が、しかしソフト面は情報戦に関する物でありわかりにくい。

その為、今後我が国日本の防衛システムは免疫システムが行っているように

①どのような敵(病原体)であるのかの同定?

②敵と自己の区別は具体的にはどのようなものであるのか?

③特定の敵のみを攻撃するために、どのような武器(抗体)を作るのか?

④この武器(抗体)を産生するための関係部署(細胞)をどのように教育して敵だけを攻撃して味方には無害な武器にするのか?

⑤一度、攻撃して死滅させた病原体の情報(B細胞内のメモリー細胞)をどこにどのように保存しておき、再度、同じ病原体が来た時どのようにこの情報を利用するのか?

というようなことがきちんと整備されれば、敵(外敵、内敵)が来ても国民を犠牲にすることなく国の防衛が可能になると思われる。

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