【しげをエコノミクス】スカッとする話!ロビンフッダーとヘッジファンドの戦いについてまとめてみた
皆さんこんにちは。
しげをエコノミクスのお時間です。
皆さんもニュースで聞かれたと思いますが、アメリカでロビンフッダーとヘッジファンドが株式市場で戦い、ヘッジファンドが大きな損失を被ったことについて、本日は解説していきたいと思います。
これは、あたかも日本の時代劇に出てくる、”庶民が結束して悪代官をやっつける”お茶の間時代劇そのものと言ってよいほど面白い話です。
早速参りましょう。
1、配役紹介
まず、今回の寸劇配役を紹介します。
・ロビンフッダー:米国のフィンテック企業である”ロビンフッド(正式名はロビンフッドマーケッツ)”という名の米国証券会社が提供する株式投資アプリ<ロビンフッド>を利用して株取引を行う、主に若い人々でスマホの取り扱いにたけた個人投資家のことです。
・ヘッジファンド:少数の大金持ち(アラブ、シリコンバレー、中国、アメリカなどにいるビリオネアー)から資金を集め、有価証券(株、国債、社債など)や金融派生商品などの市場で大金を稼ぐことを目的に作られた投資機関です。
ヘッジとは本来は”回避”という意味であり、財産を守るための投資集団であったものが、いつの間にか欲深い拝金集団になってしまったということが現実です。彼らが株式市場で使う手段は株の空売りであり、少ない投資資金で大きな株式資金を動かし、莫大な利益を上げる事だけを目指しています。今回の悪役ですね。
・ゲームストップ社:今回の株戦争のターゲットにされた銘柄であり、小さな会社であり将来性とか優れた技術があるというわけではなく、ただ単に取引のコマにされただけです。
2、株の現物取引と信用取引について
株の取引には 現物の株を売買する現物取引と投資家が証券会社から株式の買付代金や株を借りて取引を行う信用取引の二つがあります。信用買いを投資家が行うときは証券会社がお金(株式貸付代金のこと)を貸し、投資家が信用売り(空売りのこと)を行うときは売るための株(貸株という)を証券会社が投資家に貸すことになります。
現物取引においては株売買金額は株価と売買株数の積で決まるのですが、信用取引においては一定のお金(委託保証金という)を証券会社の口座においておくと、このお金の何倍かの取引(これをレバレッジ(てこ)というが、日本では3倍が普通)が可能になります。
つまり、例えば1千万円を口座においておけば、レバレッジ3倍で3千万円の取引が可能ということです。大きな取引になりますので、儲ける時も損する時も大きくなります。つまり、ハイリスクハイリターン取引になるわけです。
信用取引で利益を得る方法は上に述べた信用買いか空売りのどちらかです。
まず信用買いでは、株を買い付けその後ある一定期間後に株価が上昇したときに売却すれば買い付け時の価格と売却時の価格の差が利益となります。レバレッジを効かせて大きな取引をしているので大きな儲けになります。
一方、買い付け後に株価が下がれば大きな損になります。信用買いでの儲けはわかりやすいのですが、次の空売りはわかりにくい面があります。
3、空売りについて
空売り(信用売り)はまず、ある特定の日に証券会社から株を借りてその時の市場株価で売ります、その後、何度もこの売りを仕掛けますと株価はどんどん下がります、一般の投資家もこれにつられて売却しますので、ますます株価は下がります。株価が十分に下がったところで空売り投資家は株を買い戻します。買い戻し価格の方が売り価格よりもはるかに下がっているので売った株価(高い)と買った株価(安い)の差が利益となります。つまり、空売りは株価が下がるときにしか、利益は出ません。
現物取引では安く買って、高く売ることにより利益を得るのですが、空売りでは、最初に高く売って、次に、安く買うという順番で利益をだすのです。
空売りにおいては、株価を下げるために大量の売りを行わなければならないため、多くの貸株を証券会社から融通してもらわなければなりません。このため、多額の委託保証金を積む必要があり、十分な資金余裕があるヘッジファンドのような機関しか実施できません。
この空売りで一番損をするのが、一般の個人投資家なのです。株が下がり始めたときこれをヘッジファンドが操作しているとはきずきませんので、何か正当な理由で下がっているがじきに元に戻るだろうと思いそのまま自分の株を持ち続けるのです。
株価が下がって、ヘッジファンドが買い戻した時には、空売りする前の株価から株価が大きく下がり、ひどいときは半分や三分の一の価格になってしまうのです。このような株価操作で一般投資家が財産を失ったという話は五万とあり、そのために国は空売り規制というものを設けているのですが、ヘッジファンドの頭の良い連中はそのような規制を潜り抜けて、現在も儲けの手段として使っているのです。
4、ロビンフッダーとヘッジファンドの戦い
ヘッジファンドに個人投資家は空売りで大損をさせられる理由はその資金量の差なのです。
個人投資家は一人一人が投資判断をしているだけで、まとまってヘッジファンドに対抗できるような資金を持っている人はいません。これは、個人投資家同士が結束できないからなのです。しかし、捉え方を変えると個人投資家同士が結束し、その資金を大きくすればヘッジファンドに勝つことは可能なのです。今回、この個人投資家同士の結束を可能にしたのが、SNSによるインターネット回線なのです。
具体的に何をしたかと言うと、ヘッジファンドが空売りを始めたときに個人投資家に株を売らないようにSNSで呼びかけたのです。
この呼びかけに個人投資家は応じ、株式購入することで株価を更に上昇させたのです。
このため、ヘッジファンドが幾ら売っても株価はさらに上昇したため、ヘッジファンドは買い戻すことができないという状況が続いたのです。
空売りは開始後6か月後までには買い戻さなければならないという法規制があるので、ヘッジファンドは6か月後非常に高くなった株価を買い戻すしかなく、最初に売った株価の何倍も高い株価で買い戻し、莫大な損を被ったというわけです。
ヘッジファンドという悪代官を個人投資家集団という庶民が完全に打ちのめしたという大衆時代劇の話になったのです。
5、その後のこと
この結果を恐怖で見ていたのが、大きな資金を運用して利益を稼ぐ機関投資家、ヘッジファンド、買収ファンド、政府系ファンドなどの連中です。
このようなことを個人投資家にさせられると大損するので、すかさず、このような取引をしないように、具体的には個人投資家同士がインターネットのSNSでつながって結束した投資行動を起こさないように、政府(具体的にはイエレン財務長官)に圧力をかけたのです。
民主党は大きな財政支援をウオール街の投資家連中から受けているので、すぐに、このような投資行動は法律的に容認できないと声明をだしたのです。明らかに、イエレンは機関投資家の見方であり、個人投資家の見方ではありませんね。
私から言わせれば、ヘッジファンドが行う空売りも株価操作であり、個人が結束して行う株価操作も同じようなものであると思うんですよね。何故、機関投資家のような大きいところだけが許されて、個人投資家が結束するのは投資行動は禁止であるのか全く理由になっていないです。なんと言うか、真っ当に資産を形成しようとしている一般市民って辛いですね。。
と、まあこんな感じでしたが
皆さん、楽しんでいただけたでしょうか?
やはり、今の時代大きな財を成そうと思ったら、多くの人を巻き込むコミュニケーション能力・発信力が必要不可欠なんでしょうね。
ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません