『円』の価値を信頼しすぎてはいけない

東日本大震災から早7年半が経過しましたが、以下記事は当時、投資家向けに発行されたレポートからの抜粋です。今現在ドル円相場は1ドル=110円程度で推移していますから、円は7年前に比べて30%近く下落したことになります。

資産運用では、経済の大きな流れを考えること、市場を襲う大きなショックにどう対応するかの、その2点がとても重要です。

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ここ数年、円の価値は下落している。

普通の投資家ではなかなか目にすることがない下のチャートは、1987年からのドル円相場の推移です。よく見ると2色に分かれた細かい何本もの線が描かれていることに気づきます。これらは過去Nヵ月間の平均値を結んだ線で、移動平均線と呼びます。赤い線はより短い期間の平均、青い線はより長い期間の平均となっています。

(C)ゴールデン・チャート社 GC HELLO TREND MASTER(R)

一目見て気付かれると思いますが、短期の平均線のほうが直近の推移に敏感に反応するため、赤い線が上に位置していれば上昇トレンド、逆に下に位置していれば下降トレンドであることがわかります。

震災直後はまだ下降トレンドにありますが、そろそろ反転しそうな、その兆しは感じられます。1995年に記録した超円高はその後大幅に円安方向へ反動して見せました。2011年の震災をきっかけに、120円以上に円安が進行していったとしても、決しておかしくはないことが、歴史によって示されています。

日本を信じすぎる日本人

一個人の資産防衛ということを考えた場合、やはり「円」に傾倒した資産構成からの脱却が重要となるでしょう。地震のリスクは去ったわけではありません。東京や東海を襲う巨大地震は、いつ来てもおかしくないと叫ばれ続けています。ただでさえ、少子高齢、財政不安、デフレといった困難を抱える日本に、資産の多くをベット(BET)する行為は、リスクが偏り過ぎていると言われても仕方ありません。

海外の債券や株式、あるいは外貨預金を保有することが「リスク」だと感じていた方々でさえも、先の震災によってさすがにその考え方が間違いであると気付くきっかけにはなったのではないかと思います。高いリターンが欲しくて海外の資産運用を考えるのではなく、リスクを分散するために日本だけに偏らない運用へとシフトさせるのです。

リスクを減らすには『分散』が一番

想定もしていないようなリスク、事件、事故は起こり得るのです。そのときに最も有効な手段とは「分散」です。それしかありません。一極集中がもっとも甚大な損失を招きます。いまや世界はボーダレスで、日常的には分散の効果はそれほど見込めません。NYが風邪をひけば、日本も中国も影響を受けてしまいますし、中国のバブル崩壊は、もはや世界中を混乱に陥れます。しかしそれは平時での話です。日本発の一大事で、資産の棄損を最小限に食い止めるには、海外への資産移転しかありません。日本人が準備すべきは、命を守るための災害対策と、お金を守るための資産分散なのです。

① 円以外の通貨による資産を持つ
円、ドル、ユーロ、スイスフラン、豪ドルなど、異なる大陸の国々の、それも先進国の通貨を基本に考えます。

② 預金、債券、株式、不動産(REIT)への分散
外貨預金だけではなく、投資信託やETFを利用して、各国の様々な資産を持つように心掛けます。

③ 円預金(普通預金)をいくつかの金融機関に分けておく
北海道、東京、京都、沖縄など、預ける銀行の地域分散ができていればさらに安心です。

金融のプロで、通貨分散を考えない人は皆無

金融のプロに話を聞く機会がある方は、ぜひ伺ってみてほしいのですが、多くの人は通貨分散を最も気にかけていると思います。それがリスク平準化のために、最も重要なファクターだからです。債券で運用するか、株で運用するか、それらは次に必要な選択です。まずは円以外に、どの通貨を持つか。そのことを考えてみてください。

相変わらず世界をリードするアメリカ、まだまだ実験的な経済連合体に過ぎないものの巨大すぎて無視できないEU、南半球で唯一といえる先進国であり資源国でもあるオーストラリア、安定性中立性が注目されるスイス、これらが候補となることは間違いありません。色気を出せば、中国元やブラジルレアルといった成長力ある大国の通貨にも目が行きますが、これらへの投資はリスク分散というよりは、やはりリターン狙いの投資と考えるべきでしょう。

市場に、ブラックスワンは、必ずいる。

有事においては「円」では何も買えない、というほどに日本の通貨が信用失墜する可能性すらあることを、今一度、ブラックスワンは世に存在することを、肝に銘じておいて損はないはずです。

ブラックスワン:めったに起こらないが、壊滅的被害をもたらす事象のこと。

壊滅的な災害や、バブル崩壊、大不況の訪れ、それらはいつやってきてもおかしくないと誰もが思いながら、現実味がないために明日へ明日へとその対応を引き延ばしがちです。真のリスクへの準備を怠らないことが、資産運用で『最後に勝つ』法則であることを忘れてはなりません。

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