【展示会レポ】SMART GRID EXPO体験記
3月1日、東京ビッグサイトにて開催された、「SMART GRID EXPO」という、主に環境対策に特化した、新製品及び新技術の展覧会へ参加した。ここで展示されていた世界中から集まった技術の結晶たちの一端を皆さんと共有したいと思う。
SMART GRID EXPOとは
スマートグリッド(電力向けITソリューション)の構築に必要なあらゆる製品・技術が一堂に出展する国際商談展である。具体的課題を持った専門家と商談する絶好の場である。今回は2019年2月東京ビッグサイト開催の場に参加したが、今後の予定は2019年9月にインテックス大阪、2020年2月に東京ビッグサイトで開催予定である。
↑会場の雰囲気はこんな感じ。
会場の雰囲気としては、数多くの国の企業がひしめき合う大所帯だった。さらに、それぞれのブースにて商談を行っている場面に注目すると、使われている言語が日本語、英語、中国語等、様々な言語が飛び交うような環境であり、驚きを隠せなかった。このことから、ますますグローバル化の進行を痛感したという第一印象を抱いた。
ピックアップコンテンツ
その中で、私は主に以下の項目に特に興味を惹かれた為、ここに報告する。
- 風力発電機構の発達
- バイオマス燃料用原材料の拡充
- 鋳物を溶接する技術
1 風力発電機構の発達
展示会会場に入り、まず初めに目に付いたのは数々の大きな風車たちであった。東日本大震災の一件以来、脱・原発は私たち日本人にとって至上命題となっており、そこにビジネスチャンスを見出したメーカーがこぞって、風力発電の新機構を宣伝しに来ていた。
風力発電の永遠のテーマは“恒久的電力の確保”である。
昨今、実際に使用されている風力発電機構は、発生する風の強さ及び風向きという、
人間の手でコントロールできない外的要因で供給できる電気量が決まっているのが現状である。その現状を打破すべく、各企業の新製品がこの会場に並べられ、“我が社の風車が一番安定供給が出来るぞ”と、構造的アイディアを見せ合っているという印象を受けた。下記に一例を記すがどれも斬新なアイデアばかりだ。
↑様々な形の次世代型風車たち
2 バイオマス燃料用原材料の拡充
次に、私の目に留まったブースは“バイオマス燃料”を宣伝するブースだった。
バイオマス燃料の原料の種類が、昨今増えてきているという。少し前まではトウモロコシやサトウキビ等、人間が食料として扱うものしかバイオマス燃料の原料になり得なかったが、今回の展示会では新たに木屑ペレットや、ヤシの木の殻など“今までは捨てられていたもの”をバイオマス燃料用の原料に使用できることになったことを大きくアピールしていた。この調子でコンビニから廃棄される大量の食糧ゴミ等、人間の手で大量に捨てられているものを、バイオマス燃料用の原料として使えるようになることを祈るばかりだ。
↑バイオマスの新しい原料たち
3 鋳物を溶接する技術
私が、この展示会で最も衝撃を受けたブースがある。
それは、“鋳物を溶接することが出来る技術を確立した”という内容のブースである。
通常、鋳物は一度溶かした金属を型に流し込み成形をする、という手法で作られているため、鋳物に熱を加える(=溶接する)と金属の組織が脆くなり、極端に強度が下がる。
したがって、“鋳物は溶接しない”というのが設計上の通例だった。
が、このブースでは“低温・低歪溶接技術”という独自の溶接技術を紹介しており、
・一度に行う溶接のビードの距離を数十mmの短いビードで温度上昇を防ぐ
・短ビード溶接を行った箇所にピーニングを行い、応力と熱を分散させ、綺麗に仕上げる
という2つの特徴により、上記の設計上の通例を覆す技術が生まれたのである。この技術は主に造船の現場で活躍しているそうだ。
おわりに
環境に対する関心が世界レベルで高まっていることに対し、グローバル化の新たなメリットを見た気がした。それと同時に、世界中の技術レベルの水準が高くなっていると感じた。
日本よ・・・このままでは本当に国としての強みがなくなってしまうのでは?
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